プログラミング教室プレスタの溝口です。
今回は、子どもたちの未来のお仕事について考えてみます。
「将来の夢は、電車の運転手!」
鉄道ファンの子どもなら、一度は夢見るあこがれの職業です。私自身も子どものころ、同じことを言っていた記憶があります。
しかし、テクノロジーの進化によって電車の自動運転が普及すれば、将来は電車の運転手という職業がなくなっているかもしれません。
子どもの夢を応援したいけれど、将来はどうなるのかな…。
そんな保護者様の気持ちに寄り添いながら、鉄道業界の今後と、未来のお仕事を予想してみたいと思います。
最新テクノロジーで変わりゆく鉄道のお仕事
自動運転技術の発展により、将来的には多くの列車が無人で運行される可能性があります。
日本国内では、新交通システム(ゆりかもめ、ニュートラム、ポートライナーなど)ですでに自動運転が導入されていますし、山手線や新幹線でも実証実験が始まっています。
しかし、これで「夢が潰えた」わけではありません。鉄道のお仕事は運転手だけではないのですから!
むしろ、鉄道業界でのキャリアの選択肢は、テクノロジーの進歩とともにさらに広がっているのです。
「ぼく、電車の運転手さんになれないの?」って言われたら…
「もしかしたら、そうかもしれない。でも、鉄道のお仕事って、運転手さん以外にもたくさんあるんだよ!」
テクノロジーの進化で、消えるお仕事がある反面、新しいお仕事がどんどん生まれています。
それは主に、プログラマーやシステムエンジニアといった IT系 の職種です。
例えば、こんなお仕事が登場しています(予想を含みます)。
1. 電車の頭脳を作るエンジニア
電車の動きを制御するシステムを作るお仕事です。
たくさん走っている電車を安全に運行したり、異常が起きた時にすぐに対応できるシステムを設計、開発、運用する技術者が必要です。
2. 列車運行ダイヤのプランナー
人工知能などのテクノロジーを活用して、より便利で効率的な運行計画を立てる仕事です。
気象条件や混雑状況に応じた運行調整をしたり、エネルギー効率を最適化する制御システムのエンジニアが必要です。
3. 未来の駅をデザインする人
改札機や案内表示、自動券売機など、駅にあるデジタル機器をより便利に、より使いやすくするお仕事です。
スマートフォンと連携する新しいサービスをつくるなど、今までになかった仕組みを考え出す、発想力豊かな人が必要です。
4. 鉄道システムのセキュリティエキスパート
鉄道の運行システムをサイバー攻撃から守るお仕事です。
安全な通信システムを構築し、強固なセキュリティ対策を行う専門家で、鉄道システムの安全を陰で支えています。
子どもの興味を広げるためにできること
鉄道業界に限らず、未来のお仕事は IT 抜きで成り立たないことは明らかです。
そもそも鉄道は、コンピュータが存在しない時代から、列車を正確に運行するシステムを築いてきました。
プログラミング的な思考を学ぶのに、鉄道はうってつけの教材なのです。
お子さんの鉄道への興味を尊重しながら、プログラミング学習への橋渡しをするのが得策といえます。
京都鉄道博物館の展示(筆者撮影)
おうちでできる工夫
おうちにあるもので、駅にあるものや列車の運転を再現してみましょう。
紙にお絵描きや、段ボールを使った工作でも十分です。
- 運転シミュレーターゲームで運転手を疑似体験する → ゲームのしくみを考える
- プラレールや鉄道模型の列車を走らせる → 複数の列車を運行するダイヤを考える
- レゴブロックで自動改札機をつくってみる → 扉が開閉する条件を考える
休日のお出かけで
鉄道の仕組みを見たり体験できる場所やイベントがおすすめです。
- 鉄道博物館、資料館
- 科学館での交通システム展示
- 子ども向けプログラミング教室(鉄道をテーマにしたもの)
京都鉄道博物館の展示(筆者撮影)
例えば、鉄道博物館に行くなら、運転席だけでなく普段は見られない「指令室」もチェック!
ここが鉄道の運行を支える重要な場所なんです。
「ここでどんなお仕事をしているのかな?」と子どもと一緒に想像を膨らませるのも楽しいですよ。
子どもの視野を広げる声かけ
人目につかない隠れた仕組みや、働いている人たちがいることを気づかせるために、こんな声掛けをしてみましょう。
- 「運転手さんだけじゃなく、電車を動かすシステムを作る人も、とても大切な仕事だよ」
- 「自動運転の電車を作るには、どんな工夫が必要かな?」
- 「駅の案内表示や自動改札も、誰かが作っているんだね」
大切にしたい「鉄道への情熱」
お子さんの「電車が好き!」という気持ちは、未来のキャリアにとって大きな財産です。
その情熱は、勉学や仕事への意欲につながる可能性を秘めています。
いつか興味の対象が、鉄道から他へ移ったとしても、それまでの成長は決して無駄ではありません。
これからの準備として
これからの準備として、プログラミング的思考を育むことは大事です。
論理的に考える力や、問題解決能力を高めることは、IT系の仕事のみならず、社会生活を送るうえで必要不可欠なスキルだからです。
今のうちに始められること
「さあ、プログラミングを勉強しましょう!」なんて言っても、子どもにはピンとこないですよね。
具体的に、自分でつくったり操作したりすることで、感覚的に理解しやすくなります。
- 鉄道模型で遊びながら、信号機や踏切の仕組みを考える
- 駅の電光掲示板にどんな表示がされるかを観察する
- 運転ゲームで遊びながら、操作ボタンや画面表示の動作を考える
こんな遊びの中から、自然と興味が広がっていくものです。
まとめ
子どもの「電車が好き!」という気持ちは、とても素晴らしい才能の芽。この興味は、きっと未来の素敵な仕事につながっていくはず。
今は「運転手さんになりたい!」という夢をあたたかく見守りながら、少しずつ学びの視野を広げていってあげましょう。