小学生の習い事選びの理想と現実 - 失敗事例から学ぶ、親が気づいてあげたい子どもの本心

皆さんは子ども時代にどんな習い事をしていましたか? 楽しい思い出があったり、大人になってから役に立っていれば、「自分の子どもにも習わせてあげたい」と思いますよね。

逆に「親に言われて、やりたくないけどやっていた」苦い思い出があるかも。そんな押し付けを、自分の子どもにしないためにはどうすればよいのか? 筆者自身の経験を交えて、親として気を付けたいことをまとめました。

目次

保護者世代が子どもの頃にやってよかった習い事ランキング

まずはじめに、どんな習い事が人気なのかをチェックしておきましょう。

子育て世代の女性向け情報サイト「Kufura」が2019年に男女500人を対象に行った、「子ども時代にやっておいてよかったと思う習い事」のアンケート結果は次の通りでした。

第1位習字(67票)
第2位そろばん(66票)
第3位ピアノ(51票)
第4位英語・英会話(48票)
第5位水泳(34票)

昔から「読み、書き、そろばん」と言われるだけあって、習字とそろばんが上位にあるのは納得の結果です。

いつの時代も、持っておいて損はないスキルであることは間違いありません。

どの習い事にも言えるメリットとして、「自分に自信が持てるようになった」「大人になってからも役に立っている」という意見が多くありました。

「途中でやめてしまったけど、続けておけばよかった」という反省の弁も。

子どもにさせたい習い事ランキング

次は、保護者が自分の子どもにさせたい習い事です。

同じく、「Kufura」が2019年に行った、「この春から子どもに始めさせたい習い事」のアンケート結果は次の通りでした。

調査対象:6~14歳の子どもがいる女性193人

第1位学習塾(11.4%)
第2位英会話・英語塾(10.1%)
第3位習字(5.2%)
第4位スイミング(4.7%)
第4位パソコン・プログラミング(4.7%)

保護者世代がやってよかったと考えている、英語、習字、スイミングが変わらず上位にランクインしています。

学習塾がトップに来ているのは、近年の中学受験熱が反映しているようです。

パソコン・プログラミングは保護者世代が子どもの頃にはなかった習い事ですが、これからの時代に必須のスキルであるという認識の現れでしょう。

私が小学生時分にやっていた習い事(主に失敗事例)

筆者(男性)が小学生の頃やっていた習い事は、そろばん、エレクトーン、ソフトボールでした。

3つもやっていたなんて、いま考えてみると多いですね。

ここでは、私個人の体験談とその感想を記します。

そろばん

自宅の目の前にあった珠算教室に通っていました。

自分がやりたいと希望したわけではなく、何歳から始めたかも覚えていませんが、2級になるまで続けました。

黙々と珠を弾いて答えを書くだけでしたが、一人で地道に反復練習するのは性に合っていたと思います。

暗算が得意になったので、買い物のときは頭のなかでサクッと計算できるのは何といっても便利!

結果オーライで、やっておいてよかったと思っています。

エレクトーン

どうしてエレクトーンをやっていたのか?

自分でも謎なのですが、母親曰く、「あんたがエレクトーンやりたいって言ったやん」とのこと。

でも、まったく記憶にない!

とにかくヤル気がなくて、週2回のレッスンをサボることばかり考えていました。

当然、上達するはずもなく、発表会で「メリーさんのひつじ」を一回弾いて、終了。

自宅にあったエレクトーンは、新聞の「譲ります」コーナーに掲載して引き取られていきました。

今も音楽は聴く専門ですし、自分で楽器を演奏したいとは思いません。大失敗でした。

ソフトボール

子供会のソフトボールチームがあって、強制的に入れられました。「入らない」という選択肢はない雰囲気だったので。

当時はプロ野球人気が絶大でしたが、私は全然興味がなかったですし、運動自体が嫌いでした。

練習に行くのは時間の無駄でしかなく、うまくなりたい気持ちもありませんから、万年補欠で玉拾いばかり。

たまに試合に出させてもらっても、三振、エラーでチームに迷惑をかけるので申し訳ない気持ちでいっぱいに…。みじめでしたね。

結局、練習に参加しなくなってフェードアウト。

ますます運動嫌いになっただけでした。

どうして、やりたくない習い事をはじめてしまったのか?

いま振り返って思うこと

改めて書き出してみると、習い事を選ぶにあたって「やってはいけないこと」がハッキリとわかりました。

私がやった3つの習い事に共通しているのは、「自分の意志で始めた習い事はひとつもない」ということです(エレクトーンは微妙ですが…)。

親が良かれと思って始めさせた習い事であっても、本人の「やりたい!」という熱意がなければ続かないし、上達もしません。

たとえ評判のいい教室に入ったとしても、本人の心に刺さらなければ、期待した効果は上がらないでしょう。

親の意向に逆らえなかった

昭和の頃は、今では考えられないくらい躾が厳しくて、体罰だって当たり前でした。

私は長男でしたから、特に厳しく育てられました。そのせいもあり、親に従順な子だったと思います。

本心は嫌でも、嫌と言えない。

やりたくないことも、やると言ってしまう。

そんな感じでしたから、仕方なく習い事をやっていたのでしょう。

しかし、気持ちは正直です。やりたくない習い事の成果は、やっぱりそれなりでした。

その習い事、親の気持ちが優先していませんか?

親の思いを推し量ってみると

私の習い事について客観的にみてみると、親の気持ちがわからなくもありません。

そろばん、エレクトーン、ソフトボールというラインナップは、学習系、音楽系、運動系という異なるジャンルを組み合わせており、バランスが取れています。

運動が苦手だからこそ、ソフトボールで体を鍛えさせたかったのだろうし、家で一人で遊ぶのが好きな子でしたから、近所の子たちと外で遊ばせたかったのだと思います。

それはわかるのですが、本人の気持ちを飛び越えてやっても反発を招くだけです。

もっとしっかり、子どもの言い分を聞いてほしかったと思います。

親の気持ちを押し付けてはいけない

「子どもの将来のために、親としてできる限りのことをしてあげたい。」

純粋な愛情ではありますが、それを子に押し付けてはいけません。

子どもが自分から「やりたい!やらせて!」と懇願するほど、熱意をもって取り組みたい習い事は、子ども自身で見つけるのがベターです。

親がしてあげられるのは、そのサポートだけだと心得ましょう。

理詰めで説得してはいけない

大人は大局的な視点で、「この習い事をやるべき理由」をいくつも語ることができます。

子どもがやりたくない理由を並べたら、「こうすればいいのでは?」という代案や解決策を次々に出せるでしょう。

しかし、これでは子どもの逃げ場がありません。

大人と子どもが理詰めで言い争えば、大人が勝つに決まっているからです。あるいは、子どもが泣き出すか、怒り出して終わりです。

「プログラミングを勉強しておけば、将来きっと役に立つよ。」

確かにそうなのですが、子どもはそんな先のことはピンときません。

「お父さんのパソコンでゲームを作ってみない?」

「今度の日曜日にロボットを作る教室があるけど、行ってみる?」

というふうに、子ども目線でやりたい・やりたくないを判断できる誘い方が有効です。

誘いに乗ってこなければ、撤回するか一旦保留すればいいですし、やりたいと言えば脈ありと判断できます。

理屈抜きで、「いまやりたいか、やりたくないか」を聞いてみましょう。

親ができなかった夢を子に託してはいけない

よくある失敗として、「親の夢を子に託す」というのがあります。

「子どものころピアノを習いたかったけど、親に反対されてできなかった。だから自分の子どもにはピアノを習わせたい。」

この場合、ピアノをやりたいのは親自身ですから、親がピアノを習いに行くべきです。子どもを巻き込む必要はありません。

「親子でピアノを弾くのが夢だった。」

というのも、親の勝手な願望にすぎません。

子どもの方から「ピアノを習いたい!」と懇願されれば、もちろんOKです。

ピアノのように幼児期から始める習い事だと、子どもはよくわからないまま、親の意向で決められることがあります。

しかし、その場合であっても、子どもが「やめたい」「違うことをやりたい」と言ってきたら、その気持ちにきちんと応えてあげましょう。

そのうちやる気になるかも、と期待してはいけない

「はじめは嫌がっていても、続けるうちに得意になったり、友達ができたりしてやる気になるかも。」

と淡い期待をすることがあります。

が、これもあまり期待しない方がいいでしょう。

好転する可能性がゼロだとはいいませんが、やる気がないマイナスからのスタートは、プラスに転じるまでに時間がかかってしまいます。

少しでも喜んで取り組める習い事をさせる方が、効果的であるのは間違いありません。

他に選択肢がないとしても、やるメリットは乏しいです。やらない選択を考えましょう。

子どもの心の声をしっかり聞いていますか?

小学生くらいになると、いろんな言葉を覚えてきて一人前な口を利いたりすること、ありますよね。

「いつまでも子ども扱いしてちゃいけないな。」と思ったりしますが、それでも所詮は子どもです。

ほんの数年の人生経験で、大人並みの知能を持っているはずがありません。ひとりの人間として尊重することは当然ですが、子どもは未熟だから子どもなのです。

そんな当たり前のことをつい忘れて、子どもを「大人扱い」していませんか?

子どもはきちんと「子ども扱い」しましょう。

子どもは自分の気持ちをうまく表現できない

私が「エレクトーンをやりたい!」と言ったかどうか覚えてませんが、おそらく親の顔色をうかがって、「やりたいって言えば親が喜んでくれる」と思ってそう言ったのかもしれません。

子どもは子どもなりに、親の機嫌を取ろうと一生懸命なんです。

その結果、本心ではないことをつい言ってしまうことがあります。

あるいは、「ちょっとだけならやってみたい」というのを、うまく表現できず、ひと言で「やりたい!」と言ったのかもしれません。

そんなボタンの掛け違いが続くと、「親は自分のことを全然わかってくれない」と悲嘆にくれることになります。

親の立場からしたら「この子は何を考えているのかわからない!」ということになるのでしょう。

ここは親のほうが手を変え品を変え、粘り強く本音を聞きだしてあげるしかありません。それができるのは親だけなのですから。

子どもは自分のやりたいことがわからない

子どもは、物心がついてからほんの数年の人生経験しかない人間です。

やりたいことは、経験したことからしか選びようがありません。

やりたいことを見つけるためには、いっぱい遊んだり、工作をしたり、本を読んだり、運動したりする必要があります。

そうやって経験値を上げていって、選ぶ材料を増やしてあげるのです。

それを抜きにして「なにがやりたい?」と聞かれても、子どもは答えに困ってしまいます。

わからないから、とりあえず目の前にあるものを「やりたい」と言うかもしれません。

たいていの場合、それはその子が本当にやりたいことではありません。

どうすれば、本当にやりたい習い事を見つけられるか

普段の会話で子どもの興味・関心をつかんでおく

普段から親子の会話を多くして、子どもの興味・関心が何なのかを知っておきましょう。

どんな本や漫画、テレビ番組、YouTubeチャンネルがお気に入りなのか、どんな遊びをしているのか、友達とどんな話題で盛り上がっているのか、など。

自分に興味を持ってくれるのは、子どもとしても嬉しいはずです。

もし、子どもから話さないのであれば、親から話しかけるようにしましょう。

面倒くさがられるかもしれませんが、毎日続ければ根負けすると思います。

仕事の都合などで親子の時間がとりにくい場合、短くてもいいので、意識して会話の時間を作ることをおすすめします。

今日なにをしたか、だけではなく、今日うれしかったこと、困ったことなど、子どもの気持ちを聞いてあげましょう。

選択肢を増やしてあげる

例えば、運動系の習い事を探している場合。

筆者が小学生の頃、スポーツと言えば野球の一択でした。

少年野球やソフトボールのチームがあちこちにありました(今では見る影もありませんが)。

サッカーとか、卓球とか、体操とか、陸上競技とか、様々なスポーツがありますが、習い事としては目立たない存在でした。

現在は「こんな競技も習えるの?」と驚くような、マイナーな競技も習えますし、ネットで全国各地の教室を簡単に見つけられます。

子どもが興味を持っているようなら、「一回やってみる?」と誘ってみてはいかがでしょう。

体験教室に参加してみたり、必要な道具を中古品やレンタルで揃えれば、意外と安価にできるかもしれません。

なにより、実際にやったという経験は、お金以上の価値があるはずです。

親も一緒にやってみる

習い事の主役は子どもですが、体験教室などに親も参加できるのであれば、一緒にやってみてはいかがでしょうか。

人見知りや恥ずかしがり屋の性格のお子さんだと、知らないところへ行くのが不安で尻込みするかもしれませんが、親が一緒なら安心です。

一緒にやってみれば話のネタになりますし、子どもがどれくらいその習い事をやりたいか、感覚的にわかると思います。

あるいは、やりたいことの入門書を買ってあげたり、テレビ番組やYouTube動画の情報を教えてあげるのもいいアイディアです。

親が協力する姿勢を見せれば、頼りにして相談するようになるでしょう。

やる気の熱量を測る

子どもが言う「やりたい!」が、どの程度の熱量なのかを見極めることも大事です。

入会金や月謝がかかる習い事であれば、安易にはじめてもらっては困りますよね。

もしかしたら、一回やれば満足なのかもしれないし、友達と一緒ならやりたいのかもしれません。

実際にやってみないと分からないことは多いと思いますが、少なくとも始める時点でやる気のボルテージがMAXなのか、しっかり確認した方がいいですね。

「親がやるなと言っても絶対にやりたいのか。」

「友達がやめたとしても続けるのか。」

「その習い事の目標はなにか。自分がどうなりたいのか。」

といったことを、いろんな角度から聞いて意思を確かめたり、目標達成まで続けることを約束させましょう。

(トラブルなどの想定外があったときは、退会を含めて柔軟に対応することは言うまでもありません。)

【まとめ】子どもの習い事選びで親が気を付けたいこと

子どもの習い事を選ぶ際、親の気持ちを優先して子に押し付けてしまうのはNGです。子どもの気持ちをよく聞いてあげて、「どうしてもやりたい!」と熱望する習い事を親子で一緒にさがして見つけましょう。

そのためには、普段から親子で会話して、子どもの興味・関心を知っておくことが大事です。忙しくても毎日会話をし、子どもから頼りにされる存在になりましょう。

もしも子ども時代に帰れるなら、やりたかった習い事

ちなみに、もし私が子どものころに帰れるなら、こんな習い事をしてみたかったです。

プログラミング

昔はパソコン・プログラミング教室がなかったので仕方ないですが、高校卒業後に専門学校でプログラミングを学んだときは、とても面白くて時間を忘れて取り組めました。

システム開発はチームで行うものですが、個別のプログラム制作は自分の腕の見せ所!

自分がやりたかったのはこれだと、心から思えたものです。

私がもし、子どもの頃にプログラミングに出会っていたら、水を得た魚のごとく熱中していたことでしょう。

個人競技のスポーツ

私は、野球やサッカーのような団体競技は興味ありませんでしたが、長距離走のような個人競技は好きでした。

運動は苦手と言いましたが、正確にはチームプレーが苦手だったのです。

運動も、勉強も、遊びも、一人で自分のペースでコツコツ進めるのは大得意!

もし、そういう特性に気づいて個人競技を習っていたら、運動大好き少年になっていたかもしれません。

鉄道クラブ

こんな習い事はないと思いますが、もしあったら狂喜していたことでしょう(笑)

私は鉄道大好き少年でしたが、身近に同じ趣味の子がおらず、完全に孤立していました。

それを自覚していたので、まるで隠れキリシタンのように、鉄道好きであることを隠して過ごしていました。

もし鉄道クラブがあったら、鉄道ファンの友達ができたでしょうし、自分から積極的に参加しただろうと思います。

その夢は大人になってから自力でかなえました。サークル「鉄道模型で遊ぼう会」を作ったのです。

子ども時代にできなかった夢をかなえただけでなく、今の電車好きな子どもたちに希望を与えられればと考えています。

電車大好き×プログラミング教室を開催中!

規則正しく正確に運行される鉄道は、さまざまな人や列車や設備を組み合わせて動いている「巨大なプログラム」です。

そんな鉄道に魅せられているお子さんは、プログラミング(論理的な思考力)のセンスがあります。

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この記事を書いた人

代表:溝口光徳(みぞぐちみつのり)1971年 大阪生まれ。銀行系の情報システム会社でシステムエンジニア、システムコンサルタントを歴任。新卒から24年勤めたのち、46歳で独立。異業種に挑戦するなど試行錯誤を経て、プログラミング教室プレスタを開校した。趣味は鉄道旅行で、JR全線完乗したのが自慢。鉄道サークルの代表を務めている。 保有資格:(経産省認定)アプリケーションエンジニア、システム監査技術者、他に 総合旅行業務取扱管理者

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